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最高裁判所第二小法廷 昭和33年(あ)2309号 判決

主文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

弁護人堀込俊夫の上告趣意一について。

刑法二五六条二項にいう「寄蔵」とは、委託を受けて本犯のために賍品を保管することをいうのであって、所論大審院判例も右と同旨に出たものと解することができ、原判決は、被告人がマックファランドより本件宝石を預った旨を判示しているから、むしろ、所論判例に合致し、これと相反する判断をしたものとはいえない。それゆえ、所論は採用できない。

同二について。

原判決は、被告人に対する本件犯罪事実を、第一審公判調書中証人ジョン・モントゴメリー・マックファランドの供述記載の外、第一審各公判調書中証人梶原正美、同三矢直道、同前田悟、同大館三郎、同ジョセフ・ティー・マッケナー、同渡辺鉱蔵、同森照雄、同玄、同ジョージ・テレンチフ、同レオニード・ユシコフ、同江藤良子、同白崎志津子、同ジェローン・エッチ・フリックの各供述記載、斎藤達男、増淵七郎の検察官に対する各供述調書、増淵七郎作成の被害届、司法警察員高安三千雄作成の証拠品説明書、警視庁技術吏員下瀬文雄外一名作成の報告書を掲げて認定しているから、所論憲法三八条三項違反の主張はその前提を欠き、所論は採るを得ない。

また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四〇八条、一八一条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 藤田八郎 裁判官 池田克 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一)

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